今日、フォーラム福島で「東電TV会議49時間の記録」を見ました。福島第一原発事故のあの時、何があったのか、現場の状況を直接見ることができる貴重なドキュメントです。映像は福島オフサイトセンター、東電本店、 福島第1原発、福島第二原発、柏崎刈羽原発を結ぶテレビ会議の分割画面のみですが、約3時間半に編集され、解説が入っているので、そのやりとりがどんな状況のいつの話なのか、よくわかるようになっています。
この映像を編集し、ドキュメンタリー映画の形に仕上げたOur Planet TVの白石草さんと、東電にこの元映像を公開させるためのキャンペーン報道を展開した朝日新聞の木村英昭記者の解説とトークも入るとあって、場内は満席。パイプ椅子も通路に並べるほどのいっぱいの人でした。
1号機、3号機が次々に爆発し、2号機の状況がどんどん悪化し、爆発する前のところで映像は終わっています。一番肝心なところは東電が出さない、というか、音の入った映像は「ない」と言っているそうで…。
木村さんもおっしゃっていましたが、見終えて思うことはまず、大量の放射能漏れによって影響を被る地域住民への配慮がほとんど皆無に近いことへの驚きです。官邸への対応をどうするか?プレスにどう発表するか?ということは繰り返し議論されており、原発内で働く社員や他社の作業員への配慮は見えるものの、地域住民のことはまったくTV会議の話題にのぼらない。「ヨウ素が大量放出されます!」と言いながら、風向きも把握していながら、早く風下の人たちに伝えなければ、というようなやりとりは全く無いのです。
(写真左:白石さん、右:木村さん)
また、当時東電本部が調達したバッテリーが届かず、社員の車から取り出したバッテリーで一時凌いだりしたことはTVの特集でも見ていましたが、足りなくて社員からかき集めたのはバッテリーだけではなく、現金や移動用の車やヘルメットや靴まで。なんとも目を覆うばかりの惨状でした。
上映後の質疑応答の時間には、「政権、『原発ゼロ』を転換」のトップ見出しの今朝の朝日新聞を握りしめ、「福島の原発事故は何も収束していないのに、また原発を動かそうとする安倍政権は許せない」と憤る年輩男性も。本当に、あの時のことをすっかり忘却したかのようなエネルギー計画。閣議決定を下した方たちには、じっくり座ってこの映像を見てほしい、と思います。
明日は山形で上映会とのことですし、これからも各地で上映会があるそうなので、皆様ぜひ機会をみつけて足を運んでみてください。そしてなんと!福島での自主上映の場合は、特別に無料での映像の貸出もしてくださるそうです。ぜひ上映会やりたいですね。見ると事故当時東京にいた私でさえ、胸がざわざわしますけどね。
この映像を東電から引っ張りだし、編集して、福島での上映の機会をつくってくださった白石さん、木村さん、フォーラムの阿部さん、ありがとうございました。
(藤岡)