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3.11から~ようこの福島レポート(4) 伊藤延由さん

伊藤延由さん 元飯舘村農民見習い人

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私は3.11後に多くの方と出会いました。その中でも伊藤延由さんは突き抜けてやんちゃな印象を持っています。70才を過ぎた人に「やんちゃ」と称することは失礼な表現だと思いますが、そのやんちゃさは確固たるもので、決まりばかりが増えて(最近は自転車はどっち側を走るという決まりもできたとか・・・)やんちゃがしにくく自己規制してしまう空気の中では、伊藤さんのやんちゃさは青く美しくなんといっても一緒にいて楽しいと私は感じています。
写真:いいたてふぁーむにて】

私は月に一度、飯舘村に通い風景を眺めさせてもらっています。写真も撮らせてもらっていますが、こちらは素人なので形になるかわかりません。車を持っていないので、伊藤さんに乗せて連れていって頂くことも多いです。伊藤さんとの出会いは京都大学原子炉実験所の今中哲二さんらが行っている2013年3月の調査に参加させてもらったことでした。伊藤さんは調査チームのお母さん的存在でバックアップを担っていました。また、伊藤さんはテレビや新聞などメディアの取材を積極的に受けていて、震災後の1年で300人のメディアの方と名刺交換をしたとのことです。

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伊藤さんは3.11の1年ほど前に「いいたてふぁーむ」というIT関係会社の研修施設の管理人として飯舘村に移り住みました。地元の新潟県でお母さんの介護を終え自分がこれからどう生きるのかさまよっている時に以前働いていた会社の社長さんから管理人の話があったそうです。新緑の季節には気持ちがルンルンし毎日が踊るように幸せで、ご近所からきのこや山菜など山の恵みをおっそわけでは料理の仕方も教えてもらい、こんな美味しいものを食べたことがないという体験を何度もしました。肩書きにあるように、野菜作り、米作りにも取り組み、地元の人よりも早く起きて田んぼの草取りをしていたそうで、地元の人も「あんなに働く人を見たことないよ、たまげたよ」と驚いたことを話してくれました。本棚には今も「野菜の上手な作り方」「炭」「現代農業」「米ぬか」・・・といった本が並び伊藤さんの思いを代弁してくれています。

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伊藤さんが取材を受けている場に何度か一緒させてもらい、あるとき伊藤さんが震災前の飯舘村での暮らしの話をしている時に並ではない情愛がこもっていることに気づきました。今でも伊藤さんは飯舘村に通っています。地元の人が「放射能が高いから行っちゃダメだよと言ってもダメなんだもん」と笑い話をしてくれたことがありますが、本当に本人にはどうすることもできないほど飯舘村が好きなんだと思います。
【写真:田んぼの放射線量を測る】

震災後には独自に放射能汚染の勉強を進め、分からないことは積極的に専門家に聞き、自分でも調べるということを実践されています。地元の方からも頼りにされていて、専門家の先生が話すことは難しくて分からないけど伊藤さんの話なら理解できると幅のある疑問や不安が寄せられています。

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【写真:モニタリングポストの数値を確認する】 

私も原発事故前に伊藤さんが飯舘村でどんな暮らしをしていたのか、いろんな方に聞いてもらいたいとトークイベントを企画しました。私が福島原発事故へジョインするきっかけをくれたドキュメンタリー映画監督の藤本幸久さんの新作「圧殺の海 沖縄・辺野古」の上映会とジョイントで、藤本監督と伊藤さんのトークセッションを行います。

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2015年1月24日(土)2回上映

場所 アオウゼ 小活動室1(各回30人)

(福島市曽根田町1-18マックスふくしま4F)

□1回目 13時00分~ □2回目 16時30分~

□  特別企画 トークセッション 「辺野古の海 飯舘村の山」15時00分~16時00分

監督 藤本幸久さん × 伊藤延由さん 元飯舘村農民見習い人

□  チケット 1,000円(当日券のみで、席に限りあるのでお早めにお越しください。トーク込みです。)

主催 映画「圧殺の海 沖縄・辺野古」上映実行委員会

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ご参加いただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

(賛助会員 佐川ようこ)

毎日夕刊14-11-12大阪

毎日新聞大阪版2014年11月12日(水)夕刊

*転載はご遠慮ください。