ブログ

福島を訪れたバングラデシュの友人からのメッセージ

金曜日の夜、バングラデシュの首都ダッカで起きた人質テロ事件は、日本人7名を含む多くの死傷者を出す最悪の結果となってしまいました。今回の事件に巻き込まれ、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

福伝では、2015年の3月に、日本国際ボランティアセンターとシャプラニール=市民による海外協力の会という二つの国際協力NGOと協力して、タイとバングラデシュから2名ずつ、現地のジャーナリストや活動家を福島に招き、いわき市、南相馬市小高区、浪江町、富岡町など、主に浜通りの各地を住民の方々の案内で訪ね、原発事故後の福島の状況について地元の方々のお話を聞くというツアーを行いました。

バングラデシュからはバングラデシュ研究センターという市民シンクタンクの事務局長であり、執筆家、ミュージシャンでもあるオルップ・ラヒーさんと、若手ビデオジャーナリストのヌスラット・イスラム・カーンさんの2名を招きました。

二人は約1週間のツアーの間、フレコンバッグが山と積まれた光景や人通りのない避難区域の状況に心を痛め、福島の方々に心を寄せ、出会った人たちの話を真剣に聞き、今回見聞きしたことを国に帰って多くの人に伝えたい、と言って帰っていきました。

二人のうちの一人、執筆家で出版者でもあるオルップ・ラヒーさんは、帰国後、私たちが作ったブックレット「福島10の教訓~原発災害から人びとを守るために」のベンガル語版翻訳に着手し、今年3月には立派なベンガル語版冊子を完成させてくれました。
以下は、2015年10月に、バングラデシュで日本人男性が射殺される事件が起きたとき、オルップさんが私たちに送ってくれたメッセージです。今も同じ気持ちでいることと思います。原文は英語ですが、日本語訳して皆さんと共有します。

(事務局長 藤岡恵美子)

【オルップさんからのメッセージ】
(2015年10月15日 バングラデシュ北部での日本人男性射殺事件に際して)

親愛なる友人たち、共に働いている皆さん、

私たちはあなた方の仲間の市民―あなた方の国からバングラデシュへ来られた私たちの客人であり友人―の死に深く心を痛めています。どうか今回の殺人者たちや事件の計画者たちがバングラデシュの人々を代表するものではないということを心に留めておいてください。

私たちバングラデシュ人は、世界のほかの多くのコミュニティと同様に、国家的にも、地域的にも、グローバルな地政学的にも、複雑な環境の中におり、その中には今回のような突然の事件を生み出したかもしれない様々な要因があります。支配的なエリートたちによる民主的でない政治、偏狭な宗教対立主義や世界的な「テロとの戦い」プロジェクトによって作り出された「テロリズム」、グローバル企業中心の資本主義、などです。

私たちからの謝罪とお悔やみを受け入れてください。そして、どうか私たちと共に、全ての国々やコミュニティで、何が世界や私たちの生活を惨めなものにしているのかを理解しようと努めてください。そして、罪のあるものが刑罰を受けず説明もしない不公平な文化の原因をともに明らかにし、暮らしやすく自由で公平な社会をこの世界の中で実現できるよう、共に戦ってください。

連帯の気持ちをこめて

オルップ・ラヒー

<原文>
Dear friends and colleagues,

We are deeply aggrieved by the death of your fellow citizen – our guest and friend here from your country in Bangladesh. Please keep in mind that the people of Bangladesh are NOT represented by the killers and the planners whoever they might be. We, Bangladeshi people, like many other communities in the world, are in a complex national-regional-global geo-political context where there are many factors that might be generating these saddening events: undemocratic politics and governance by the ruling elites, communalism and ‘terrorism’ manufactured by the global ‘war on terror’ project, global corporate capitalism and so on and so forth.

We therefore request you to accept our apologies and condolences, and hope that we will together try to understand what is making the world and our lives miserable in all countries and in all communities. Let us try together to expose those causes: culture of injustice, impunity and unaccountability, and fight together to achieve livable, free and just societies in the world.

In solidarity,