2015年6月の記事一覧

3.11から~ようこの福島レポート(5) 揺れる楢葉町にて

久しぶりのブログ更新になってしまいました。すみません!
少し前に初めて楢葉町に行ってきました。全町が国の避難指示区域となっています。サッカーの総合施設Jヴィレッジがあるのでご存知の方も多いと思います。新聞では、避難指示解除を巡って町と国で話し合いが継続されていること、住民懇談会(説明会)では国の解除を前提とした説明に町民の不安の声が多いことなどが報道されています。

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私の住んでいる福島市を朝5時30分に出発し楢葉町に8時に到着しました。慣れない長距離運転だったので、今回はあまり欲張らず「見る」ことだけを目的にしました。

はじめに温泉施設「しおかぜ荘」に行きました。除染作業員さんの宿泊棟がたくさんあり、工事中ということもあって忙しない雰囲気でした。お邪魔したら悪いと思い、早々に退散し竜田駅方面へ向かいました。

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一部の役場機能や事業所が戻っていることもあって、駅から職場に向かうサラリーマン風の方を何人か見かけました。駅の周辺を歩かせてもらうと、途中の国道6号線や最初に行ったしおかぜ荘の喧騒とは対照的でとても静かでした。

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駅に行きホームに立たせてもらうと、そこから美しい海を眺めることができました。切符回収をしている駅員さんに「ホームからの眺めは本当に綺麗ですね」と話しかけると「海の色がいいでしょう」と答えてくれました。海の色は空色に近く、太陽の光を受けて輝いていました。

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また、楢葉町で出会ったほとんどの方が「この町は揺れている」と話されていました。福島原発事故から4年以上が過ぎた今でも「この町は揺れている」です・・・。私は、揺らしている人(国?)がいるんだと思っています。その人(国?)は、揺らすのではなく、それぞれの選択の幅を広げ安心して歩めるようにすることが役割のはずです。

帰りに2回目ブログで書かせてもらった田村市都路地区に寄りました。福島第一原発から30㎞圏内は2011年9月に、20㎞圏内は2014年4月に避難指示が解除されました。賠償金など差が出たことで「不公平感」があり、地域が分断されたといいます。2015年2月には約400人が,東京電力と国に対する損害賠償請求訴訟に踏み切ったそうです。裁判をするということはとても労力のいることなので、それでも訴訟を起こしたということは、こちらもまだまだ「揺れている」ということだと思います。また、私の住む福島市渡利地区の皆さんも集団ADRの準備を進めています。先日、栃木県北部での7000人規模の集団ADRについての報道もありました。この「揺れ」が、大揺れにならないよう地元住民の声、当事者の思いを施策に反映する姿勢が求められています。

(賛助会員 佐川ようこ)